2017年 くもん牛久大賞発表!

2017/12/27
毎年恒例のくもん牛久大賞!
大相撲関連の問題を見守っていたら、発表が大幅に遅れました。申し訳ございません。

さあ2017年も残りわずか。今年の受賞作はこちら!

「子どもへのまなざし/佐々木正美著・福音館書店」



















随分前に、ある親子がいました。年の近い幼い兄弟の子育てにお母さんは毎日へとへとです。
周りに子育てを助けてくれる人もおらず、育児が苦しみとしか思えないような気持ちになることもありました。
ただ、そんな中でも子どもの教育が何よりも大切というご自身の考えから、上のお子さんを教室に通わせてくれていました。

特に日頃お母さんを悩ませていたのが下のお子さん(当時1~2才)のことです。
四六時中ぐずったり、泣いているのです。
教室での送り迎えはもちろん、
買い物に行っても何が不満なのかお店で大泣き、大暴れ
時にはすれ違う大人に「泣かせるな!」と大声で怒鳴られたこともあったそうです。

「この子を可愛いと思えない。」とあるときこぼされたので
「泣き続ける子は、実は我慢強いらしいですよ。」と伝えました。
「え?」とお母さんは目をパチクリ。

その声かけのヒントはこの本にありました。
以下内容を要約してご紹介。

〈30年も前ヨーロッパの学者や研究者や臨床家の間で、赤ちゃんが望んでいることは、どんなことでも無条件で満たしてあげたほうがいいか、そうしないほうがいいかで意見が分かれた。〉

〈赤ちゃんを二つのグループに分け、一方は泣いてもなにしても深夜には授乳しない、昼間も規則正しく定時授乳を守る。もう一方は、子どもが望むたびに授乳をするという、実験的な育児をした。〉

〈子どもが望むたびというのは、授乳の要求だけを聞くのではなく、あやしてあげるとか、だっこをしてあげるとか、遊び相手をしてあげるとか、そういうことを全部ふくめて子どもの希望は全部かなえてあげるという育児をする。〉

〈最初のグループで深夜の授乳はけっしてしないと決めた。
早い赤ちゃんは三日も泣けば、翌日までは泣かないで待てるようになった。
深夜にはけっしておっぱいをやらない、あやさない、だっこをしないというようにすると、
たいていの赤ちゃんでも一週間前後で、翌日まで泣かないで、おっぱいを待てる子になる。
二週間をこえてもなお泣き続ける子どもは例外的にしかいないこともわかった。〉

〈そしてその後、子どもたちをずっと追跡し観察が続けられた。〉

〈結論的に分かったことは、三日ぐらい泣いて翌日まで待てるようになった子どもは、
一部の専門家が予測したような、いち早く忍耐づよい子になったのではなくて、

むしろ困難にたいして早くギブアップする子だということがわかった。〉

〈いつまでも泣き続ける赤ちゃんのほうが、
本当は忍耐づよい、簡単にはギブアップしない子どもだった。〉

こういった内容をざっとご説明し、
「ね?ですからお宅のお子さんは泣き続けられる我慢強いお子さんなんですよ。」
と伝えると
そのお母さんの顔がぱあっと明るくなりました。


著者は言います。
「三日にしろ、二週間をこえてにしろ、結局だめなものはだめだということで、泣き止むしかなかったということは、子どもの心に周囲の人や世界に対する漠然とした、しかし根深い不信感と自分に対する無気力感のような感情をもたらしてしまうということです。」

「それにたいして、深夜であろうとなかろうと、泣くことで自分の要求を表現すれば、その要求が周囲の人によって、満たされるということを体験した赤ちゃんは、自分をとりまく周囲の人や世界にたいする信頼と、自分にたいする基本的な自信の感情が育まれてくるのです。」

ぐずりつづける我が子、どんなに言っても、言うことを聞かない我が子

「何でこうなんだろう・・・。」
と悩むのではなく、

「あら?こんなにいつまでも言うことをきかない我が子はひょっとして我慢強いの?大器晩成??」

なんて、
こちら側も発想の転換をすれば、育児も明るくなりますね!


年末年始、みなさん元気でお過ごし下さい。


過去の受賞作品はこちら!


このブログの人気の投稿

君に幸あれ

よくないひとのすること

人間がAIより優れている点は